人から見られることの多い前歯の歯並びが悪いと、笑顔がぎこちなくなってしまったり、第一印象を左右してしまったりすることがあります。
歯並びの矯正は、一部分だけおこなうこともできるので、前歯だけ治したいというときにも便利です。
矯正のなかでも、自然で、人に知られにくいマウスピース矯正について、部分矯正の場合の費用やかかる期間をまとめました。
目次
マウスピース矯正は部分矯正も可能
歯の矯正には、歯全体の位置を調整する全体矯正と、一部だけを矯正する部分矯正の2種類があります。
なかでも、歯にマウスピースをはめることで少しずつ位置をずらしていくマウスピース矯正は、全体矯正でも部分矯正でも使える矯正方法です。
全体の歯並びが悪いわけではなく、一部分だけが気になっているというときは、マウスピースの部分矯正を検討してみましょう。
マウスピース矯正で前歯が改善された症例
こちらは実際に当院で実際にマウスピース矯正を実施し、12か月経過した時点の症例写真です。
前歯が引っ込むことで横顔の印象も大きく変化すると想定されます。
マウスピース矯正の特徴
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを歯にはめることで、少しずつ位置を動かしていく矯正方法です。
1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換していくことで、少しずつ歯並びの改善を目指します。
通院は1~2ヵ月に1度でよいので、なかなか歯科医に通う時間が取れない人でも無理なくできる矯正方法です。
マウスピースでの部分矯正のメリット
マウスピースでの部分矯正では、奥歯を動かさずに前歯のみ矯正をおこないます。
そのため、全体矯正に比べると治療期間が短く、スピーディに治すことができます。
マウスピース矯正の方法のひとつであるインビザラインには、歯全体を動かすことができるインビザライン・ライトと、奥歯の移動ができないインビザライン・GOの2種類の部分矯正があります。
ワイヤー矯正で部分矯正をする場合は、矯正したい部分だけにワイヤーをつけるため、それ以外の歯を動かすことはできません。
そのため、一部の歯だけをずらすことになり、かえって他の部分の歯が飛び出してしまったり、歯を移動させる力が弱く、期待通りの効果がでなかったりすることがあります。
一方、インビザライン・ライトであれば、歯全体に働きかけることができるので、より自然な矯正ができます。
さらに、インビザライン・ライトやインビザライン・GOは、全顎に対しておこなうインビザラインに比べて価格もリーズナブルです。
価格がネックになることも多い歯列矯正において、費用が節約できるというのは大きなメリットだといえるでしょう。
マウスピースでの部分矯正のデメリット
マウスピースによる部分矯正のデメリットは、治療が完了するまでにある程度時間がかかるということです。
また、マウスピース矯正は、部分矯正であっても全体矯正であっても、1日20時間という決められた時間は、必ずマウスピースを着用しなければいけません。
食事や歯磨きのときは外すことができますが、眠るときや仕事中、外出中なども、基本的にマウスピースはつけっぱなしになります。
マウスピースを付け続けることができない職場に勤めている人や、正しく管理する自信がない人などは、早期に歯並びを直せるセラミック矯正などのほうが適している場合があるでしょう。
いずれの方法にしても、さまざまな矯正方法に対応している歯科医と自分に合った方法を相談しながら検討することが大切です。
マウスピースで部分矯正をするときの費用
マウスピースの部分矯正にかかる費用は、使用するマウスピースの種類やそれぞれの人の歯の状態、抜歯が必要かどうかといった条件によって異なります。
例えば、インビザライン・ライトの場合は、30~60万円程度みておくとよいでしょう。
これよりも安く価格を提示している歯科医院もありますが、クリーニング代や検診代、インビザライン終了後に移動した歯を固定するための保定装置代などが含まれていない場合もあるので、気を付けてください。
マウスピース矯正の価格を比較するときは、最終的にかかる費用の合計をチェックする必要があります。
マウスピース矯正にかかる期間
マウスピース矯正は、少しずつ歯を動かすことで歯並びの改善を目指す方法です。
そのため、劇的なスピードで治療が完了するということはありません。
部分矯正であっても、治療が完了するまでには6ヵ月~1年程度かかると思っておきましょう。
また、治療完了後は、リテーナーと呼ばれる保定装置をつけて、動いた歯を完全に固定する必要があります。
ゆるやかに歯並びを改善できるのがマウスピース矯正の魅力ですが、その分、治療が完了するまでには時間がかかってしまうのです。
マウスピースでの部分矯正が向いている人
マウスピースを使った部分矯正は、「歯並びが少し気になる」という人に向いています。
軽度の歯並びの問題は、マウスピース矯正で自然に整えられる可能性が高いでしょう。
また、マウスピースは透明で、装着していてもあまり目立ちません。
ワイヤー矯正は目立ってしまって嫌だ、仕事上問題がある、という人にも、マウスピース矯正はおすすめです。
歯並びも少しずつ治っていくので、不自然さがなく、自然に美しい歯並びを手に入れることができます。
ただし、マウスピース矯正は1日20時間装着をして、食事などのたびに歯磨きをしてつけなおす必要があります。
このような手間を大きな負担と感じる人や、決まりを守って装着ができないという人は、マウスピース矯正の効果が得にくい可能性があるでしょう。
そういう場合は、短期間で歯並びを改善できるセラミック矯正などを活用するのがおすすめです。
また、歯並びによっては、そもそもマウスピース矯正による部分矯正ができない場合もあります。
マウスピース矯正による部分矯正ができない例
マウスピースを使った部分矯正は、大幅な歯並びの改善には利用できない場合が多くなっています。
歯科医によっては、事前に写真などから矯正が可能かどうか診断してくれるところもありますから、不安な場合は相談してみましょう。
上下顎前突
上下顎前突は、上顎と下顎の両方が前に飛び出て、口がとんがっているように見えてしまう歯並びのことです。
上の歯と下の歯、両方の治療が必要になることから、部分的な矯正で改善することはできません。
また、歯並びを大幅に動かさなければいけない場合、抜歯や外科治療を合わせておこなわないと歯並びが整わない可能性が高いでしょう。
反対咬合
いわゆる受け口のことです。
上下の歯を合わせたときに、下の歯が上の歯より前に出てしまいます。
上下顎前突と同様に、軽微な歯並びの改善だけで矯正することはできません。
奥歯を含めて歯全体を動かす必要が出てくるため、部分矯正ではなく顎全体の矯正が必要な場合が多いでしょう。
上顎前突
上顎前突とは、出っ歯のことです。
マウスピースの部分矯正だけでは、歯が顎に収まりきらず、治療が難しい場合があります。
抜歯などと組み合わせて、奥歯を含め歯全体を動かす治療が必要になるでしょう。
叢生
叢生は、そうせい、と読みます。
歯ががたがたと不規則に並んでいるのが叢生の特徴です。
顎自体の大きさを広げる外科的手術をおこなったり、抜歯をしたりしないと、歯が並びきらないことがあります。
反対にいうと、歯を並べる隙間が確保できる軽度の叢生であれば、マウスピースの部分矯正でも対応できる可能性があります。
部分矯正で治療できるかどうか知りたい人は、歯科医で診察を受けてみてください。
まとめ
マウスピース矯正は、前歯だけの部分矯正も可能です。
全体矯正よりもリーズナブルにできるうえに、少しずつ自然に歯並びを治せるので、歯を削ったり外科治療をしたりするのに抵抗がある人でも安心です。
しかし、マウスピース矯正をするためには、1~2年程度、毎日20時間の装着が必要です。
装着時間を守れないと、治療が思うように進まない可能性が高くなります。
そういう場合は、短期間で歯並びを改善できるセラミック矯正などがおすすめです。
複数の矯正方法を取り扱っている歯科医なら、自分の歯の状態と治療方針の希望に合った矯正方法を提案してもらえるため、まずは相談してみましょう。
※本記事の内容は公開時点の情報であり、実際のメニュー名や金額とは異なる場合がございます。最新の情報については当院までお問い合わせください。