マウスピース矯正は、歯の動き始めに痛みを感じやすいことが特徴です。しかしどの程度の痛みを感じるのかは実際に矯正治療を始めてみないとわからないものです。また「どのくらいの痛みが発生するのか」気になっている方も多いかと思います。
そこで本記事ではマウスピース矯正中に発生する痛みについて、発生するタイミングや長さ、原因から対処法、注意点まで解説します。
マウスピース矯正は痛い?
歯列矯正は痛みを感じることがあるといわれますが、マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べて痛みを感じにくい方法です。
痛みの感じ方は個人差がある
マウスピース矯正により感じる痛みは、歯に力が加わることで生じます。痛みの感じ方にはもちろん個人差がありますが、多くの場合、我慢ができないほどの強い痛みは生じません。歯が引っ張られている、あるいは締め付けられているように感じることが多いです。
痛みは数日程度で慣れることが多い
マウスピース矯正による痛みを感じやすいのは、歯の動き始めです。マウスピースを初めて装着するときや交換するタイミングでは痛みを感じやすいかもしれません。数日もすると徐々に慣れて痛みは薄れていくため、動き始めの痛みが長く継続することはありません。
マウスピース矯正の痛みの原因
マウスピース矯正で感じられる痛みは主に歯が動くことが原因ですが、その他の刺激により痛みが感じられるケースもあります。
矯正により歯が移動しているため
歯列矯正治療により痛みが生じる主な原因がこちらです。歯と歯の間には、歯の土台となる「歯槽骨」という骨と「歯根膜」と呼ばれる組織があります。
歯の移動は、歯根膜が伸び縮みしたり、歯槽骨の大きさが変化したりすることによって起こります。歯の動き始めに痛みが生じやすいのは、歯の周辺にある組織や骨のかたちが変化するためです。
マウスピースやアタッチメントが当たるため
マウスピース矯正では「アタッチメント」と呼ばれる器具を歯の表面に設置します。突起状になっているため、アタッチメントが唇の裏側に当たり痛みが生じることがあります。
またマウスピースが歯茎に当たって痛みを感じることもあります。痛みが続く場合は調整が必要な可能性もあるため、クリニックへ相談することをおすすめします。
マウスピースを着脱する際の刺激
マウスピースの着脱時に痛みを感じるケースもあります。歯列矯正治療では歯に力を加えることで少しずつ歯を動かします。そのため、マウスピースのかたちは現状の歯並びとは少し異なるかたちに設計されています。
歯が移動する際の痛みを着脱時にも感じることがあっても、マウスピースが馴染んでくることで少しずつ軽減されます。
強制力を強めるゴムにより強い強制力がかかるため
矯正治療では、歯を移動させる力を強めるためにゴムを使用することがあります。上の歯と下の歯、前歯と奥歯を引き合わせるような用い方をして、通常よりも効果的に矯正治療を進めることか可能になります。
しかしゴムを使用すると通常よりも強い力が歯に加わるため、装着後2〜3日の間は痛みが生じることが多いです。
かみ合わせによる刺激
歯の移動による痛みが生じているタイミングでは、ものを噛むときの刺激により同様の痛みが起こりやすいです。特に、硬いものや分厚くて噛み切るのが難しいものを食べる際は痛みを感じやすいでしょう。
トラブルによる痛み
矯正治療では多くの場合、歯の移動が原因で痛みが生じます。しかし、何らかのトラブルにより痛みが生じているケースもあります。
歯が後戻りしている
後戻りを起こした歯にマウスピースを再び装着する際に痛みが生じることがあります。
マウスピースを装着している際は、歯を元の位置に戻そうとする力も働いています。そのため、マウスピースの装着時間を守らず短い時間で外してしまうと、歯が後戻りすることがあります。
矯正器具に不具合がある
口内炎が生じている、口内に傷ができている場合は、矯正器具に研磨不足などの不具合が生じている可能性が考えられます。
口内炎や口内の傷は矯正効果による痛みではないため早めにクリニックへ相談しましょう。
虫歯・歯周病など
矯正治療中は、ケアを怠るとマウスピースやアタッチメントに付着した食べかすなどの汚れが口内に溜まってしまいやすいです。
ケア不足が原因で虫歯や歯周病が引き起こされると、ズキズキとした痛みが続きます。矯正治療の最初とは違う痛みを感じる場合は虫歯や歯周病の可能性がありますので歯医者へ相談をしましょう。
マウスピース矯正中に痛みが生じた場合の対処法
マウスピース矯正中に生じる痛みについて、歯が動くことによる痛み以外にもいくつかの原因があることをご説明しました。矯正効果による痛みに対しては、多くの場合マウスピースが馴染むのを待つことで痛みが軽減されます。
その他の痛みに対しては下記のような対処法があります。
マウスピースを削る
マウスピース矯正では、まれにマウスピースの研磨不足が起きることがあります。マウスピースの縁が歯茎に当たって痛かったり、口内の粘膜が痛かったりする際はマウスピースを削ることで改善が期待できます。
痛み止めを服用する
マウスピースが馴染むのを待つことが難しいと感じる方は、痛み止めを服用するのもひとつの手段です。痛み止めが必要になるケースはほとんどありませんが、痛みの感じ方には個人差があるため、痛みを感じやすい方は一時的に服用も可能です。
ただし、痛み止めが必要なほどの痛みが持続している場合は虫歯や歯周病など、矯正治療以外のトラブルが発生している可能性を疑いましょう。
歯や歯茎のマッサージをおこなう
歯や歯茎を指の腹や歯ブラシを用いてマッサージすることも、痛みを軽減する方法のひとつです。痛みを悪化させたり口内を傷つけたりしないように、優しく押すことがポイントです。
手軽におこなえるため、まずはこの方法から試してみてはいかがでしょうか。
一つ前の痛みの出ないマウスピースを一定期間装着する
歯が十分に動いていない状態で新しいマウスピースに交換した際に想定よりも強い力がかかってしまうことがあります。
マウスピース矯正は、一つのマウスピースで矯正治療完了の歯並びまで動かすことはできないため、複数枚のマウスピースを用いて少しずつ歯並びを変化させていくためです。
交換前のものを装着して痛みを軽減させ、歯を正しく動かしたあとにあらためて交換することで痛みを軽減できます。
やわらかいものを食べる
食事中に痛みが生じる場合の対処法です。食事中に痛みが生じるのは、噛む際に歯に力が加わることが原因のため、やわらかいものを食べることで歯にかかる負担を軽減でき痛みを和らげられます。
マウスピース矯正中に痛みが生じたときにやってはいけないこと
誤った対処法をしてしまうと、矯正治療の期間が延びたり痛みが悪化してしまうことがあります。痛みが生じた際にやってはいけないことも押さえておきましょう。
マウスピースを長時間外す
マウスピース矯正の効果を得るには、1日あたり20時間以上は装着している必要があります。痛みが生じているからと自己判断で外してしまうと本来得られるはずの効果が得られないだけでなく、歯の後戻りが生じてしまう可能性もあります。
治療期間が延びることにもつながるため、着用時間は必ず守るようにしてください。マウスピースの縁が歯茎に当たって痛いなど、マウスピース自体に問題がありそうな場合は早めにご相談ください。
痛み止めを繰り返し服用する
痛み止めには「抗炎症作用」という働きがあります。これは炎症を鎮めて痛みを軽減させるものですが、痛み止めを頻繁に服用すると矯正治療の進行自体に影響を及ぼすおそれがあります。
歯の矯正治療は、歯に力を加えて軽い炎症を引き起こすことで成立しているためです。痛み止めを繰り返し服用すると矯正治療が進まなくなる可能性があるため、一時的な服用に留めましょう。
刺激を与える
歯や歯茎を優しくマッサージする程度なら問題ありませんが、固いものを噛んだり、熱いもの・冷たいものを口に含んだりして新たな刺激を加えることは控えましょう。
固いものを噛んだり、熱いものを口に含むと痛みが増すおそれがあります。また口内を冷やした場合は歯の動きが悪くなることにつながります。
まとめ
マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて痛みを感じにくい矯正治療の手法です。しかし歯列矯正治療の仕組み上、歯が動き始めてから2〜3日は多少の痛みが生じます。
多くの場合は徐々に痛みが収まってくるため、2〜3日が経過しても痛みが収まらない場合はその他の原因を疑いましょう。また痛みが強い場合は我慢せずにクリニックへ相談しましょう。
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