歯列矯正を考えた際に、メジャーな方法としてワイヤー矯正がありますが、どういった方法でやる矯正なのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、マウスピース矯正との違いは何か疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
歯列矯正を始める前に矯正方法のメリットやデメリット、費用相場を把握しておくことが重要です。
本記事では、ワイヤー矯正の仕組みや種類、メリット・デメリット、マウスピース矯正との違いについて解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
歯列矯正のワイヤー矯正とは?
歯列矯正の一種であるワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる器具を歯に装着し、そこにワイヤーを通して、徐々に歯を移動させることで歯並びをよくする矯正方法です。
ワイヤー矯正の仕組みや、治療期間、流れについて解説していきます。
ワイヤー矯正の仕組み
まず、歯の構造について知っておきましょう。
歯の周辺(歯ぐきの中)には支えるための骨である歯槽骨(しそうこつ)と、歯の根っこの部分である歯根(しこん)、歯槽骨と歯根の間に歯根膜(しこんまく)という、緩衝材の役割を持った薄い膜があります。
ワイヤー矯正は、ブラケットをワイヤーで引っ張ることで、一定方向に矯正力が加わります。
矯正装置によって歯に力が加わると、その力が歯根膜にも伝わり、歯が動く方向にある歯根膜が縮み、反対側が引き伸ばされます。
歯根膜は一定の厚さを保とうとするために、縮んだ歯根膜・引き伸ばされた歯根膜どちらも元の厚さに戻ろうとします。
縮んだ歯根膜は元の厚さに戻すために骨を溶かす細胞の働きを活発化させ、引き伸ばされた歯根膜は、元の厚さに縮もうとするために新しく骨を作ります。
この歯根膜の収縮と骨を溶かしたり作ったりが繰り返されることで、少しずつ歯が移動していくのがワイヤー矯正の仕組みです。
ワイヤー矯正の治療の流れと治療期間
最適な矯正方法を選択するため、まずはカウンセリングを受けます。
カウンセリングの際、歯科医師に希望や悩みを伝えましょう。
検査をしてお口の状態を確認したうえで、治療方法や治療計画を提案してくれます。
虫歯がある場合は、虫歯の治療をしてからでないと矯正を始められません。
また、歯を動かすスペースがない場合は、矯正前に抜歯するケースもあります。
術前の処置が終わったら、ワイヤー矯正を開始します。
ワイヤー矯正の治療期間は、平均2〜3年程度です。
ブラケットを外したあとは、後戻り防止のためにリテーナーを装着します。
またワイヤー矯正では、矯正器具を装着してから月1〜2回程度の頻度で定期検診が必要です。
ワイヤー矯正のメリット
ワイヤー矯正には、以下のようなメリットがあります。
さまざまな症例に対応可能
ワイヤー矯正は、抜歯をともなう場合や、複雑な歯の移動が必要な場合でも対応が可能です。
凹凸の大きな歯並びや重度の出っ歯・受け口・すきっ歯・八重歯など、マウスピース矯正では適応しない歯並びの治療をおこなうことができます。
矯正装置の取り外しが不要
ワイヤー矯正では、装置の取り外しが不要です。
そのため、マウスピース矯正のように食事のたびに取り外す手間がなく、自己管理の必要もありません。
細かい調整ができる
ワイヤー矯正は、歯の傾きや向きなど細かい調整に長けています。
歯を効率的にさまざまな方向に動かすことが可能で、特に上下の歯の噛み合わせの調整に優れています。
矯正期間が短い
ワイヤー矯正は効率的に歯を動かせることに加えて、歯を大きく速く動かすことができます。
そのため、矯正期間の短縮につながるのです。
ワイヤー矯正のデメリット
ワイヤー矯正には、以下のようなデメリットも存在します。
矯正装置が目立つ
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と比べるとブラケットやワイヤーが目立つため、見た目が気になる場合が多いです。
矯正しているのを周囲に知られたくない方にとっては、デメリットとなり得ます。
矯正装置装着後に痛みや違和感が生じやすい
ワイヤー矯正はマウスピース矯正に比べて歯の動きが大きく早いため、矯正装置装着後や調整後に痛みが生じやすいです。
ワイヤー矯正の痛みは、装置装着後の3~6時間ほどで痛みが出始め、矯正開始から2〜3日でピークを迎え、1週間程度で徐々に慣れていきます。
食事がしづらい
前述したとおり、ワイヤー矯正では痛みが生じやすいため食事がしづらくなることがあるでしょう。
痛みが落ち着いても、矯正装置に食べ物が引っかかり食べにくいと感じることがあります。そのため、繊維質が多い食べ物や麺類など、装置に挟まりやすい食べ物には注意が必要です。
歯磨きがしづらい
ワイヤー矯正は、ブラケットに通したワイヤーが邪魔になり歯が磨きにくいといったデメリットがあります。
取り外しができないため、ワイヤーやブラケットに食べ物のカスが挟まりやすく、歯磨きもしにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
矯正装置で口腔内が傷つく
ワイヤー矯正で痛みを感じるのは、歯の動きによるものだけではありません。
装置が粘膜に当たり口内炎ができることで、違和感や痛みを起こすことがあります。
特に、治療初期に唇の裏側に口内炎ができやすく、口をたくさん動かすときに傷つきやすいため注意しましょう。
ワイヤー矯正の装置の種類と費用相場
ワイヤー矯正の費用相場は、矯正方法や装置の種類によって異なります。
ここでは、矯正方法別の費用相場をご紹介します。
ワイヤー矯正の種類には以下の3つがあります。
表側矯正(唇側矯正)は、ブラケットとワイヤーを歯の表面に装着する矯正方法です。
適応症例が特に多く、さまざまな歯並びに対応できます。
また、矯正器具を装着しても発音に影響がないのが特徴です。
表側矯正の費用相場は、矯正範囲にもよるものの、30万~100万円程度となります。
裏側矯正(舌側矯正)は、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着する矯正方法です。
歯の裏側に矯正装置を装着するため、目立ちにくいというメリットがあります。
一方で、発音に影響が出たり、歯科医師の高い技術が必要とされるため治療費が高額になったりするデメリットがあります。
裏側矯正の費用相場は、100万~150万円程度です。
ハーフリンガル矯正は、上側を裏側矯正で、下側を表側矯正でおこなう矯正方法です。
上下すべてを表側矯正にするよりも装置が目立ちにくく、上下すべてを裏側矯正にするよりも費用を抑えることができます。
ハーフリンガル矯正の費用相場は、80万~130万円程度です。
マウスピース矯正とは?ワイヤー矯正との違い
ワイヤー矯正の仕組みやメリット・デメリット、費用相場をご紹介してきましたが、歯列矯正にはワイヤー矯正以外にも、代表的な矯正方法として「マウスピース矯正」があります。
ここからは、マウスピース矯正の特徴やメリット、ワイヤー矯正との違いを詳しくご紹介していきます。
マウスピース矯正の特徴とメリット
マウスピース矯正とは、透明に近いマウスピース型の矯正装置(アライナー)を装着して歯並びを改善する歯列矯正です。
マウスピース矯正の仕組みはワイヤー矯正と同じで、歯に矯正力をかけることにより骨の吸収と再生が繰り返されることで歯を動かします。
ただし、マウスピース矯正ではワイヤー矯正よりも少しずつ歯を動かしていくという特徴があり、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないのが特徴です。
その他にも、目立ちにくい、取り外しができる、矯正中の食事が制限されないなどのメリットがあります。
ワイヤー矯正に比べて適応症例は少ないですが、現在では多くの方がマウスピース矯正による歯列矯正を選択しています。
マウスピース矯正とワイヤー矯正をわかりやすく表で比較!
ここでは、マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いをわかりやすく表でまとめました。
歯列矯正の種類で迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
矯正方法 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 | ||
---|---|---|---|---|
見た目 | ◎ | ほとんどわからない | × | 目立ちやすい |
痛み | △ | 比較的少ない アライナーを交換すると痛みを感じる人もいる |
× | ワイヤー調整後に痛みが出やすい |
適応症例 | 〇 | 一部対応難しい症例がある | ◎ | 多い |
費用 | △ | 10〜100万程度 部分矯正か全体矯正かで費用感が変わってくる |
△ | 60〜170万円程度 矯正方法によってはその他の歯列矯正に比べ費用が抑えられる |
治療期間 | ◯ | 3ヵ月~2年程度 | × | 2〜3年程度 |
セルフケア | ◎ | 自分で装置を取り外すことができるため通常の歯磨きが可能 | × | ブラケットやワイヤーがあるため歯磨きの難易度が高い |
通院回数 | △ | 4〜8週間ごとに経過観察をおこなう | × | 月に1〜2回程度の調整が必要 |
おすすめの人 | ・制限なく食事を楽しみたい ・矯正しているのを周囲に知られたくない ・痛みに不安がある ・歯はなるべく削りたくない |
・矯正装置の見た目が気にならない ・歯並びの乱れが重度 |
||
メリット | ・自分で着脱可能 ・金属アレルギーの方も安心 ・虫歯や歯周病になりにくい |
・適応症例が多く、重度の症例も対応可能 ・装着時間などの自己管理が不要 |
||
デメリット | ・装着時間などの自己管理が必要 ・食事中は取り外さないといけない ・治療できない症例がある |
・食べ物が器具に挟まりやすい ・定期的な調整が必要 |
マウスピース矯正とワイヤー矯正、どっちがおすすめ?
マウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらが適しているかは、お客さま一人ひとりのお口の状態やご要望により異なります。
そのため、まずは医師の診察やレントゲン検査・CT検査などをしてみないとわかりません。
ワイヤー矯正は適応症例が多い点がメリットのひとつですが、マウスピース矯正もここ数年でその精度は上がり適応範囲が増えています。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、診断やカウンセリングを受けて、ご自身にあった方法を見つけましょう。
まとめ
歯列矯正の一種であるワイヤー矯正とは、ブラケットとワイヤーを用いて歯並びをよくする矯正方法で、骨の吸収と再生が繰り返されることで、歯を動かすことができます。
ワイヤー矯正は適応範囲が広いというメリットがありますが、デメリットも多く存在します。
また、代表的な矯正方法の一つであり、現在では多くの方がおこなっているマウスピース矯正は、マウスピース型の矯正装置を装着して歯並びを改善する方法です。
装置は透明で目立ちにくく、自分で着脱もできるため食事の制限もありません。
湘南美容歯科のマウスピース矯正は、さまざまな歯並びの状態に対応できるよう複数のメニューをご用意しております。
また、当院ではワイヤー矯正のお取り扱いを終了いたしました。
歯列矯正を検討されている方は、まずは一度カウンセリングにお越しください!
実績のある医師が、丁寧なカウンセリングを実施したうえで治療をおこないます。
※本記事の内容は公開時点の情報であり、実際のメニュー名や金額とは異なる場合がございます。最新の情報については当院までお問い合わせください。