歯列矯正によって歯並びが整うと、自分の見た目がどれくらい変わるのか気になる方も多いでしょう。歯列矯正は、整形手術ではありませんが口周りの印象が変わることは間違いありません。症例によっては輪郭が変わったと感じられる方もいらっしゃいます。
そこで本記事では、歯列矯正によって輪郭が変わるのか、変化するタイミングや変化を感じられる理由、歯列矯正によって得られるその他のメリットについて解説します。
目次
歯列矯正で輪郭は変わる?
歯列矯正は外科手術ではないため、輪郭そのものを変化させることはできません。しかし歯並びや咬み合わせが整った結果として輪郭の変化を感じられる場合もあります。
輪郭の変化を実感するタイミング
歯列矯正によって変化を実感できるのは口周りの輪郭です。歯列矯正では顎の幅や歯の位置を変化させますが、そのペースはおよそ1ヵ月に0.25mm〜1mm程度です。
そのため1〜2ヵ月で効果を実感することは難しいですが、1年程度が経過する頃には、口を閉じやすくなったり、咬筋(いわゆるエラ)の周辺がすっきりしたように感じられるでしょう。
湘南美容歯科の症例
歯列矯正による口周りの変化について、当院の症例をご紹介します。下記は、施術前と施術後8ヵ月が経過した患者さま(30代男性)の写真です。
施術前は、前歯の並びや上顎・下顎の位置関係などから口を閉じづらい状態にありました。横からも前歯が見えています。しかし、施術後8ヵ月の写真では、これらが改善されて口も閉じやすくなっているのがわかります。鼻先と顎の先端を線で結んだEラインも整っています。
歯列矯正で輪郭に変化が出やすいのはどのような人?
歯列矯正をおこなうことで口元の変化が観察されやすいのは、受け口や出っ歯などの症状を抱える方です。以下に、それぞれの特徴や歯列矯正によって生じる変化をご説明します。
受け口
受け口は、下顎や下の歯が上の歯よりも前に出ている症状を指します。主な原因は「上顎・下顎の大きさのバランス」と「上の歯と下の歯の生え方」とに分けられます。
顎の大きさが原因の場合は歯列矯正の他に顎の外科手術が必要になります。歯の生え方が原因であれば、歯列矯正によって上下のバランスや咬み合わせが整うことで横顔のラインが変化します。
また咬み合わせの改善により顔周りの筋肉への負荷が軽減され、自然なフェイスラインへと変化するケースもあります。
出っ歯・口ゴボ
出っ歯は、上の前歯や上下双方の前歯が前に出ていて口が閉じづらくなっている症状です。口ゴボは、出っ歯が原因となり唇が前に突き出ている状態を指します。
こちらも顎の大きさや歯の生え方が主な原因であり、歯列矯正のみでの改善が難しい場合は外科手術が必要となります。歯列矯正により出っ歯が改善されると、無理なく口を閉じられるようになり、正面から見た印象や横顔が変化します。
歯並びや口ゴボが気になっている方は改善が期待できるでしょう。
八重歯・乱杭歯
八重歯・乱杭(らんぐい)歯は、歯並びが不揃いで前後などに凸凹している状態を指します。歯列が整っていないことで、歯が前に出ている箇所だけ膨らむなど口元が歪むといった症状が起こります。
八重歯や乱杭歯は、歯列矯正による改善が可能です。歯並びが整うことによる口元の歪みの改善が期待できます。また歯の全体を使ってものを噛むことができるようになり、一部の歯に負担が集中してしまう問題も解消できます。
過蓋咬合
過蓋咬合は、上の歯が下の歯に覆いかぶさっているような状態を指します。咬み合わせが深い状態では噛む力が強いケースが多く、咬筋が発達しやすくエラが張りやすいという特徴があります。
過蓋咬合の原因は歯並びによるものと骨格によるものがあり、歯列矯正による改善が難しい場合は外科手術が必要となります。過蓋咬合の改善により期待できるのはエラの張りが解消されることです。
咬み合わせが整うことで噛む力の強さが軽減され咬筋の周辺がすっきりしてきます。
正中の不一致・交叉咬合
正中の不一致は、前歯の中心位置がずれていることを指します。また交叉咬合は、一部分だけ上の歯と下の歯の咬み合わせが逆になっているような状態のことをいいます。
口元や口周り周辺の筋肉の、左右のバランスが崩れやすくなるため輪郭が左右非対称になりやすい傾向にあります。そのため正中を合わせて交叉咬合を改善すると、バランスが整いフェイスラインも左右対称になることが期待できます。
なぜ歯列矯正で輪郭が変化するのか
歯列矯正によって歯並びが改善されると、歯並びが原因で生じていた口元の歪みや閉じにくさなどが解消されます。また咬み合わせの改善によって噛む力が正常に戻ったり、歯への負荷が分散されるといった効果があります。
一方で、歯列矯正は骨格を削るような外科手術ではないため、実際に顔が小さくなるといった効果はありません。輪郭に変化を感じられるのには、以下のような理由があります。
Eラインが整うため
歯並びが整うと、「Eライン」が整います。顔を横から見て、鼻先と顎の先端を結んだ線をEラインといいます。出っ歯の場合は唇がEラインから出やすく、受け口の場合は唇がEラインの内側に入りやすい傾向にあります。
日本人の場合は唇がEラインに触れる、もしくは少し内側にあるくらいのバランスがほどよいといわれており、Eラインの改善は歯列矯正により期待できる効果のひとつです。
エラ張りが改善するため
歯並びが不揃いで咬み合わせが整っていない状態では、歯ぎしりや食いしばりといった症状が表れやすい傾向にあります。また歯ぎしりや食いしばりが長期間続くと、咬筋が過剰に発達してエラが張りやすくなります。
咬み合わせが整うことでエラの張りが解消されると、正面からの見た目がすっきりするため輪郭が変わったように感じられます。
嚙み合わせが整い輪郭の歪みが改善するため
歯並びが整っていないことにより左右の咬み合わせが異なる場合、口周りの筋肉の発達が左右非対称になり、口周りが歪んだり顔が左右非対称になったりしやすいです。
咬み合わせが整うと筋肉の使い方に偏りがなくなり、筋肉の発達が左右対称になり歪みが改善される効果があります。
口がきちんと閉じるようになるため
歯列矯正により歯並びが整うと、無理なく口を閉じられるようになります。口が閉じにくく口呼吸が癖になっている方の場合、舌が下がり気味で口周りの筋肉も口呼吸に適した発達をします。
口が閉じられるようになると、鼻呼吸がしやすくなり舌の位置も調整され、口周りの筋肉のつき方にも変化が生じて見た目の印象も変わってきます。
しゃくれを改善できるため
歯並びが原因によりしゃくれの症状が起きている場合、歯列矯正によって改善が可能です。
しゃくれの症状が改善されると横顔のかたちが変化し、また咬み合わせの改善により、口周りの筋肉の使い方によい効果をもたらします。その結果としてすっきりとした印象になります。
食事に対する意識が変わりダイエットになったため
矯正治療中は、マウスピースを付けている時間は間食が出来なかったり、歯が動く際の痛みにより一時的に噛みしめが辛くなったり、毎食後に歯磨きやうがいなどのケアが必要になったりと日常生活に変化が生じます。
その結果、間食の量を減らしたり矯正器具にくっつきやすいものを避けたりするようになり、歯列矯正がダイエットにつながるケースも一部あります。
オーラルケア意識が高まるため
矯正治療中は、矯正器具に食べ物が引っかかったり挟まったりしやすいため、虫歯や歯周病を防ぐためには食後のうがいや歯磨きがとても大切になります。
歯をきれいに保つ意識が高まり、口にするものに気を配ったり定期検診に通ったりするようになり、口周りをきれいに保つ副次効果をもたらすケースも考えられます。
歯列矯正をおこなうことで輪郭以外にどのような変化があるのか
歯列矯正をおこなうと、歯並びはもちろんですが輪郭だけでなくその他にもよい変化がもたらされます。
滑舌がよくなる
歯列矯正によって歯並びや咬み合わせが整うことは、歯だけでなく、顎の位置や歯と舌との位置関係など、口内環境が整うことを意味します。
歯の隙間から空気が漏れることが減り筋肉のバランスも整ってくることから発音がしやすくなり、滑舌がよくなるケースもあります。
姿勢が改善される
歯列矯正によって歯並びが整い口周りの筋肉のバランスがとれると、姿勢が改善されるケースもあります。
実は歯並びは姿勢と関連しており、咬み合わせが整うと首や肩の筋肉へも影響し、身体全体のバランスが以前よりも良くなるのです。
豊かな表情になる
歯並びが整った結果として顔のバランスが整うと、それまで抱えていた歯並びなどに対するコンプレックスから開放されます。他の人に歯を見せることにも抵抗がなくなり、自信を持って笑顔を見せられるようになります。
ほうれい線が薄くなったと感じる
歯列矯正によりほうれい線がなくなることはありません。
しかし、口周りのシワがもともとの歯並びによって刻まれている場合に、シワが以前より目立たなくなり改善されたと感じることがあります。
歯列矯正で顔が歪む?
歯列矯正の完了後は咬み合わせが整っている状態になりますが、治療を進めている最中は少しずつ歯が動いています。
それにともない周辺の筋肉も変化するため、完了までの過程で一時的に顔が歪んでいるように感じられる可能性があります。しかし、歯並びが整ってくるにしたがって改善されますので心配ございません。
またワイヤー矯正の場合はブラケットが上唇の裏側にくるため、もこっと盛り上がっているように見えることもありますが治療後には解決します。
輪郭が変化するのは抜歯したときだけなのか
抜歯をともなう歯列矯正は、抜歯しないケースよりも口内のスペースが変化するため輪郭が変化したと感じやすいでしょう。しかし抜歯をしないケースでも、歯並びが整うことで横顔が変化したり、嚙み合わせの改善により咬筋を左右対称に使えるようになり、フェイスラインのバランスが整う点は変わりありません。
特に咬筋の発達によりエラが張っている方の場合は、咬み合わせが整うことで歯ぎしりや食いしばりが改善されるため、輪郭の変化を感じやすいでしょう。
まとめ
歯列矯正は骨格を変える外科手術ではないため、顔の骨格そのものを変化させることはできません。しかし歯並びや咬み合わせを改善することで、歯と舌の位置関係や上顎・下顎のバランス、顔の筋肉のバランスを整えるといった効果が期待できます。
その結果としてEラインが整ったり、エラの張りが改善されたりして顔周りの印象がすっきりする可能性は十分にあります。歯並びや口周りの印象が気になる方は、まずは矯正歯科に相談をしてみてはいかがでしょうか。
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