裏側矯正は、歯の裏側に装置を取り付けることで、矯正中の見た目を気にせずに治療ができる方法です。一方で、治療期間が長くなり費用が高額になるといった懸念点もあります。
当記事では、裏側矯正が「おすすめしない」といわれる理由や、治療開始後に後悔しないためにできること、裏側矯正の他の選択肢やクリニック選びのポイントなどを解説します。
裏側矯正の特徴
裏側矯正がおすすめされない理由を理解するには、裏側矯正について理解しておく必要があります。押さえておきたい特徴を3つにまとめました。
矯正装置が目立ちにくい
裏側矯正に顕著な特徴は、矯正装置を歯の裏側に取り付けられる点です。表側矯正とは異なり装置が見えないため、人前に立つ仕事をしている方や見た目を気にする方に選ばれやすい手法です。
治療中でも他人の目を気にすることなく日常生活を送れるため「目立たずに歯列矯正をしたい」と考える方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
表側矯正よりも虫歯のリスクが低い
裏側矯正には、表側矯正よりも虫歯のリスクが低くなるというメリットがあります。歯の裏側は表側に比べてエナメル質が厚く、また唾液も流れやすく虫歯菌が繁殖しにくいためです。
歯は基本的に、エナメル質が厚いほうが酸に強く丈夫です。また、唾液には虫歯菌などの細菌を洗い流して歯を保護する働きがあるため、唾液が流れやすい裏側に装置を付けるほうが虫歯リスクが低いといわれています。
高度な技術が求められる
裏側矯正は、歯の裏側に装置を取り付けて矯正治療を進めるため、表側矯正よりも高度な技術が求められます。
歯の裏側は表側よりも凹凸が大きい場合が多く、ブラケットの接地面積も患者さまの歯の大きさや形状ごとに異なります。そのため矯正装置をオーダーメイドする必要があるのです。
1回あたりの治療時間や完了までの期間も長くなるため、費用も表側矯正よりも高くなる傾向にあります。
裏側矯正が「おすすめしない」といわれる理由
裏側矯正には目立ちにくいという利点がありますが、以下のような理由から「おすすめしない」といわれることがあります。
費用が高くなりやすい
裏側矯正は、表側矯正と比較して費用が高くなる傾向があります。表側矯正の費用目安は70〜100万程度ですが、裏側矯正の費用目安は100〜150万円程度です。
高くなる理由の一つは、歯の裏側に装置を装着するのに高度な技術が求められることです。また、装置自体も歯の大きさやかたちに応じて作る必要があるため、製作コストが高くなります。1回あたりの治療時間や治療全体の期間も長くなるため、表側矯正よりも費用がかかるといわれています。
発音がしにくくなる
歯の裏側に装置を取り付けると舌が装置に接触しやすくなります。この影響で、「サ行」や「タ行」など、舌の動きが重要な発音をしづらくなることがあります。
矯正開始後に話しづらさを感じる方もいらっしゃいますが、多くの場合は数週間から1ヵ月程度で慣れてきて発音ができるようになります。
慣れるまで違和感が大きい
裏側矯正では装置が舌に触れるため、装着してすぐの時期には違和感や不快感を覚えることがあります。特に食事や会話の際には装置が舌に当たり、痛みを感じることもあるでしょう。
この違和感は時間とともに軽減されることが多いですが、慣れるまでに時間がかかる場合もあります。違和感が大きい場合は我慢をせずに、調整できないか担当の医師に相談することが大切です。
裏側矯正に後悔しないためにできること
いざ裏側矯正を始めたあとに「やめておけばよかったかも……」と後悔しないために、検討段階で押さえておきたいことをご紹介します。
裏側矯正の経験が豊富なクリニックを選ぶ
裏側矯正は、表側矯正と比べて装着位置の調整が難しく、より高度な技術が必要とされます。そのため、経験豊富な歯科医師がいるクリニックを選ぶことが重要です。
裏側矯正の実績が多い歯科医院では、装置の違和感、発音の問題への対応がスムーズで、患者の負担を軽減できる可能性があります。実際の症例写真や口コミを確認し、技術力のあるクリニックを選ぶと安心です。
裏側矯正のデメリットを十分に理解する
裏側矯正は見た目のメリットがある一方で、費用が高くなることや発音のしづらさなどのデメリットもあります。これらのデメリットを十分に理解し、自分にとって許容できるかどうかを事前に考えておくことが大切です。
特に費用面では、表側矯正よりも高くなる場合があります。また、矯正期間中に発音の違和感や食べづらさを感じることもあるため、それらを受け入れられるかどうかを検討しましょう。
装置を目立たなくする他の方法を探してみる
裏側矯正を検討する理由が「目立ちにくい矯正をしたい」というものであれば、ほかの選択肢も考えてみましょう。
例えば、透明なブラケットを使用する表側矯正、透明なマウスピースを使用するマウスピース型矯正は、見た目への影響を抑えられる矯正治療として選ばれています。特にマウスピース矯正は、装置の取り外しが可能で、食事や歯磨きがしやすいというメリットもあります。
自分に合った矯正方法を選ぶためには複数の選択肢の比較検討が大切です。
裏側矯正に向いている人・向いていない人の特徴
自分が裏側矯正に向いているか否かを判断する参考に、向いている人・向いていない人の特徴を簡単にご説明します。
向いている人の特徴
裏側矯正の特徴をふまえると、目立たない矯正をしたいと考えている人、見た目を気にする仕事をしている人に向いています。表側矯正と比べて歯の移動がゆっくりになる傾向があるため、時間がかかることを許容できる場合の選択肢としても検討ができます。
また、スポーツをしている人や楽器を演奏する人など、転倒した際の怪我のリスクや装置が唇に当たって痛みを感じてしまうのを防ぐために裏側矯正はおすすめです。
向いていない人の特徴
裏側矯正は、表側矯正よりも費用が高く治療期間も長くなることが特徴のため、できるだけ予算を抑えて短期間で治療を終えたいという方には不向きな治療方法です。
また舌が大きい、あるいは「過蓋咬合」にあたる方は裏側矯正に向いていない可能性があります。舌が大きい方はブラケットやワイヤーが舌に当たりやすく、違和感を強く感じる可能性が高いためです。
上の歯が下の歯を大きく覆っている「過蓋咬合」では、裏側矯正の装置が噛み合わさる部分に干渉し治療が難しくなるケースがあります。
裏側矯正以外の選択肢
裏側矯正を希望する理由が「装置が目立つことを避けたい」であれば、透明なブラケットを使用した表側矯正やマウスピース矯正を検討することも可能です。
透明なブラケットを用いた表側矯正
表側矯正は装置が目立ちやすい方法ですが、透明なブラケットを使用することで従来のワイヤー矯正よりも目立ちにくくすることも可能です。
ワイヤーは金属製であることが多く透明にはなりませんが、選択肢のひとつとして検討する価値はあります。特に裏側矯正やマウスピース矯正が適応できなかった方にとっては有効な選択肢となるでしょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを用いた矯正方法で、装置が目立ちにくい点が大きな特徴です。取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際にストレスを感じにくいというメリットもあります。
ただし、マウスピース矯正は装着時間を守らないと十分な矯正効果が得られないため、自己管理が重要です。
クリニック選びのポイント
裏側矯正は治療期間が長く費用もかかるため、信頼できるクリニックを選ぶことが重要です。クリニック選びをする際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
カウンセリング前に質問を用意する
カウンセリングでは、矯正の方法や期間、費用などの基本事項について説明を受けますが、下記のような質問事項を事前に用意しておくことでさらに納得のいく選択がしやすくなります。
- 痛みや違和感の程度と対処法
- 追加費用が発生する可能性
- 普段の姿勢や生活習慣が歯並びにどの程度影響しているか
- 治療中や治療後に気をつけたい習慣
裏側矯正の症例写真や実績を確認する
裏側矯正は歯科医師の技術力が求められる治療のため、実績の確認が重要です。クリニックのWebサイト閲覧時やカウンセリング時に、過去の症例写真を確認すると治療の仕上がりや技術レベルを判断しやすくなります。
例えば、症例数の多いクリニックはさまざまな歯並びに対応できると判断できます。自分の症例に近いものがあれば、さらなる安心材料となるでしょう。
治療計画と料金の明確さを確認する
裏側矯正は費用が高額になりやすいため、治療計画と料金の明確さを事前に確認しておきましょう。料金については以下の項目をチェックしておくことが大切です。
- 費用総額と内訳
- 追加料金が発生するケース
- 分割払いの可否や支払い方法
料金が明確に提示されているクリニックを選ぶとよいでしょう。
まとめ
治療期間が長く、また費用も高額になることが一般的な裏側矯正ですが、装置が目立ちにくく表側矯正よりも虫歯のリスクが低いというメリットもあります。いちばん大切なのは自分に適した矯正治療を受けることですので、まずはクリニックへいくなど専門家へ相談することをおすすめします。
※本記事の内容は公開時点の情報であり、実際のメニュー名や金額とは異なる場合がございます。
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