歯のセラミック治療を考えた際に、金額で迷う方も多いのではないでしょうか?
セラミック治療は保険が適用されない自費診療ですが、医療費控除の対象となる場合があります。

本記事では、セラミック治療の概要から、医療費控除の仕組みや計算方法、手続きの流れ、医療費控除の対象となる医療費などについてご紹介します。

歯のセラミック治療で医療費控除は受けられる?

医療費控除の対象となる歯科治療は、機能的な問題によって生活などに支障をきたす問題を解決するためのもののようです。

そのため、セラミック治療でも、開咬など咀嚼に大きく影響する場合の治療に関しては、控除対象になる可能性があります。

歯のセラミック治療とは

セラミック治療とは、陶器の構成成分である陶材を材料とした被せ物を装着して、歯並びや歯の形を整える治療です。

コンポジットレジンという素材や銀歯を使用するのが一般的でしたが、セラミックは天然歯のような透明感のある白い歯を再現でき、強度や耐久性など機能性にも優れています。

メリットが多いセラミック治療ですが、保険が適用されないため費用負担が大きくなるというデメリットがあります。

しかし、セラミック治療は医療費控除の対象になる可能性もあります。
経済的負担を減らすためにも、医療費控除の制度を活用できないか、確認してみましょう。

医療費控除ってどのようなもの?

そもそも医療控除とはどのようなものなのでしょうか。
医療費控除の仕組みや、控除される金額、手続きの流れについて説明します。

医療費控除の仕組み

病気などによって日常生活を健康的に送ることが難しくなった場合には、病院での治療が必要となります。

その際、治療費用が発生しますが、治療に要した費用がある一定基準を満たしている場合、かかった費用の一部が還付される制度があります。

これを「医療費控除」といいます。

医療費控除を受けられる対象となるのは、納税者で自分もしくは自分と生計を一にする配偶者や子供、親族のために支払った医療費です。

医療費控除の金額

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額です。

「医療費の合計額※1」-「保険金などで補てんされる金額」-「10万円※2」
=医療費控除額※3

※1:その年の1月1日から12月31日に実際に支払った医療費の合計額
※2:所得の合計額が200万円までの方は所得の合計額の5%
※3:対象となる金額は最高200万円まで

保険金などで補てんされる金額とは、生命保険などで支給される給付金や、健康保険で支給される高額医療費などのことをいいます。

また、10万円というのは、かかった医療費のうち10万円を超えた額が控除対象となるという意味ですが、年間の総所得が200万円未満の方の場合は10万円ではなく、年間総所得の5%を超えた額が控除対象となります。

参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

医療費控除の手続き

医療費控除は、以下の手順で手続きをおこないます。

  • 必要な書類を用意する
  • 医療費控除の明細書を記入する
  • 確定申告書を作成する
  • 税務署に必要書類を提出する
  • 必要な書類を用意する

    まずは、以下の必要書類を揃えましょう。

  • 医療費控除の明細書
  • 医療を受けた人の氏名や、支払い先の医療機関の名称、支払った金額などを記入するものです。
    国税庁のサイトからダウンロードできます。

    各健康保険組合などから送付される「医療費通知書」を添付すれば明細書の記入は不要です。

  • 確定申告書
  • 税務署や確定申告場に置いてあります。また、国税庁のサイトからダウンロードも可能です。

  • 源泉徴収票
  • 年末調整を利用した会社員の方は、源泉徴収票の原本を添付する必要があります。

  • マイナンバー
  • マイナンバーカードを持っている方は、身分確認書類は不要です。

    マイナンバーカードを持っていない方は、マイナンバーの番号がわかる書類(通知カードなど)とあわせて、身分確認書類(免許証やパスポートなど)が必要となります。

    医療費控除の明細書を記入する

    必要書類が準備できたら、医療費控除の明細書を記入します。
    記入方法は、国税庁に見本がありますのでそちらを参考にしてください。

    確定申告書を作成する

    続いて、確定申告書の作成をおこないます。
    不明点がある際は、お近くの税務署で相談してください。

    税務署に必要書類を提出する

    準備した必要書類を税務署へ提出します。

    提出期間は、毎年2月16日〜3月15日の1ヵ月間で、税務署へ持参する方法の他に、税務署への郵送やe-Taxで送信する方法もあります。

    セラミック治療の医療費控除に関する重要ポイント

    セラミック治療で医療費控除を受けるには、対象となる医療費や期間など、重要なポイントがありますので、しっかりと把握しておくことが大事です。

    ここからは、対象となる医療費や期間について詳しく解説していきます。

    対象となる医療費には決まりがある

    セラミック治療の医療費控除において、医療費に含まれるものと含まれないものがあるため注意が必要です。

    対象の医療費

    セラミック治療の医療費控除で、対象の医療費となるものは以下のとおりです。

  • 虫歯治療などを目的としたセラミック治療
  • セラミック治療に要した市販薬の購入費
  • 通院における公共交通機関の交通費
  • 治療目的のものだけが医療費控除の対象となります。
    金やポーセレンなど歯の治療材料として一般的に使用されているものを使用した治療の対価は、医療費控除の対象となります。

    また、治療のための通院費も医療費控除の対象です。

    対象外の治療費

    セラミック治療の医療費控除で、対象外の医療費となるものは以下のとおりです。

  • 見た目の改善を目的としたセラミック治療
  • 自家用車での通院に要した交通費
  • 審美目的のセラミック治療は、医療費控除の対象外です。
    保険が適用されない自由診療のものや、高価な材料を使用する場合など、一般的に支出される水準を著しく超えるものは医療費控除の対象にはなりません。

    また、通院費も医療費控除の対象になると説明しましたが、通院の際の自家用車のガソリン代や駐車場代などは医療費控除の対象外です。

    医療費控除を受けられる期間が決まっている

    医療費控除を受けられる期間は、その年の1月1日から12月31日までで、その年1年間にかかった医療費合算の金額が対象になります。
    セラミック治療だけでなく、他の医療機関とも合算が可能ですので、合算した金額が10万円を超えたら申請しましょう。

    また、同じ病気で治療を受け年をまたいでしまった場合は、その年ごとで医療費を計算する必要があります。

    分割やデンタルローンの支払いも医療費控除の対象となる

    医療費を分割で支払った場合やデンタルローンを利用している場合は、その年に支払った分が医療費控除の対象となります。

    申告には、領収書が必要となってくるためしっかりと保管をしておきましょう。デンタルローンを利用した場合、領収書がないといったことも考えられますが、支出を証明する書類として、デンタルローンの契約書の写しや信販会社の領収書を保存しておくとよいでしょう。

    また、デンタルローンの手数料や金利は医療費控除の対象外となるため注意が必要です。

    過去5年にさかのぼって申請可能

    医療費控除は過去5年分の医療費が対象となるため、控除を受けていない年があればさかのぼって申請することも可能です。

    医療通知書(領収書)を保持しておく

    医療費控除を受けるためには、医療通知書(領収書)が必要となります。
    受診した医療機関や薬局、交通機関などの領収書は大切に取っておきましょう。

    まとめ

    セラミック治療は、審美性・機能性ともに優れているため、治療費が高額になると諦めている方も多いと思います。

    セラミック治療は保険適用外ではありますが、医療費控除の対象となる場合があります。歯のセラミック治療で経済的負担を少しでも減らすために、医療費控除の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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